Low Fat Art Fest 2016
2017年3月25日初演
@ Thong Lor Art Space
我々Low Fat Art Festは日本のTheatre Company shelfの舞台『Antigone / Border-line』をお迎えできることを大変嬉しく思います。
日本のポストドラマスタイルのシンプルなスタイルを通して、現代の人類が体験しているカオスからの目線で、shelfは古典ギリシャ悲劇『Antigone』に新たな命を吹き込みました。
Theatre Company shelfは何年もの間惜しみなく文学の繊細さの新しい表現方法を切り拓いてきた矢野靖人氏が率いる東京の演劇集団であり、ヘンリック・イプセンの『幽霊』の新たなプロダクションや、日本の最も重要な作家である三島由紀夫の戯曲をもとにした『班女/弱法師』などなど数々の代表作があります。shelfはbookshelf(本棚)を意味しており、その名前は、原作(原稿、重要なスピーチ、憲法さえも)のスクリプトのディテールやそのスクリプトの裏側に潜在する意味を忠実に再現するというshelfのスタンスを表しています。作品は言語・言葉の静けさが重なり合い、日本的なシンプルな美的感覚と俳優の説得力のある演技で表現されています。
『Antigone / Border-line』は2015年の『deprived』以来2度目のLow Fat Art Fest招聘作品で、今年shelfは才能溢れるタイ女優Sumonta Suanponraと、プロダクションデザインを担当したタイのデザイナーTechit Jiropaskosolとコラボレーションしました。
ギリシャ古典『Antigone』はテーバイの王女が兄の遺体が尊厳を以て埋葬されるように抵抗する話ですが、shelfはこの作品の制作にあたり、様々な翻訳版に注目しました(タイまでわざわざ調査にいらして1975年に上演されたMatanee Rattaninのプロダクションとその歴史的文脈をリサーチしたほどです)。そのようなリサーチを行ったうえであえてshelfは、有名なストーリーラインをクリアーに語らず、登場人物の思考と感情のやりとりがより浮き彫りにされるような作品を作り出しました。
日本語とタイ語による上演です。