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芸術について、

芸術は、鈍感になった私たちを少しだけ繊細にしてくれる。
鮮明な世界を見せてくれる。ちいさなものに気づかせてくれる。聞こえなかった声を聴かせてくれる。頑な心を柔らかくしてくれる。楽に呼吸することを教えてくれる。抱いた感情や思いを存分に肯定してくれる。自分とは全然違う他者がいることを教えてくれる。人間はひとりひとりちがうんだってことを感じるかもしれない。触れなかったものに触れられる。見たことのない景色を見せてくれる。知らなかった自分に出会うこともあるだろう。少しだけ、生きていけるようになる。それが私にとっての芸術で、きっとそれは私だけじゃなくて人間にとっての芸術なんじゃないかなあと思う。苦しくなったら偉大な先人たちがたくさん残してくれた素晴らしい芸術に触れる。そうすると息が出来る。ここ一年はそうやって私は生き延びてきた。今までも、今現在もいろんなところでそうやって私たちをほんの少しだけ楽にしてくれる芸術家たちがいる。その人たちが音楽を奏でてきてくれたから、言葉を紡いできてくれたから、歌ってきてくれたから、書いてきてくれたから、続けてきてくれたから今の世界があるのだ。公演を観てくれる人たちだけじゃなくて、この先生まれてくるひとたちに向けてもきっとやっていて。こんなことをやり続けてきたひとがいたんだなあと思ってもらえるように私は演劇を続けていくのかなと思う。公演を重ねていくのかなと思う。石粒みたいなその奇蹟を残したいのかな、残していきたいのかなと思う。残していくのかなと思う。

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