「話しあうプログラム サカイノコエカタ」は、自分が積極的に考えたり関与しなかったために普段は見えていなかった、あるいは意識出来なかった境界や断絶(=サカイ)に向きあい考えるための話しあうプログラムです。
この10年、わたしたちは東日本大震災や毎年規模や場所を変えて起こる天災、あるいは新型コロナウイルス感染症など不可逆的な厄災を経験してきました。そして、厄災は、生活だけでなく社会の断絶にも発展していきました。わたし個人的には、新型コロナウイルス感染症に対する各々の立場や価値観の違いから生まれたすれ違いが、今まさに大きな断絶を生み出しているその渦中のように思っています。それは、アメリカで起きているアジア系差別のような人種の断絶や、移動の制限による親密な人々との断絶、情報を獲得するメディアの違いや情報の混乱による新型コロナウイルス感染症に対する認識の断絶、そして重症化リスクの違いからくる世代間の断絶など、さまざまな断絶が入り乱れた見えない紛争のように感じてます。一度断絶が生まれてしまうと、それを乗り越えることはなかなかに容易なことではありません。しかし、ボタンの掛け違いのようにすれ違ってしまった断絶の向こう側とこちら側で「話しあうこと」は、お互いを理解しあうはじまりになるはずです。
「話しあうプログラムサカイノコエカタ」は、自分と他者の間には明確にサカイがある、それでも自分と他者のサカイを認め、その関わり方を話しあいを通して見つめていきます。その手助けとして、プログラムにはさまざまなサカイをコエている実践者(=コエているひと)をゲストにお招きし、参加者と話しあうことでより深くサカイと向き合い、そのコエカタをそれぞれに見つけるプログラムです。
人と会うことや移動することさえ困難な今、それでも「話しあうこと」を忘れないために「サカイノコエカタ」に参加してみませんか?もし目の前にサカイがあることに気がついた時、あなたの話しあう勇気がきっと何かを変えるはずです。
-
開始前
まずゲストに聞いてみたいことを「はなしのタネ」として教えてください。
-
前半35分
ゲストの実践紹介をする“コエ”ピソード
ゲストの方が、実践を紹介する時間です。 -
後半80分
みなさんが冒頭に書いた「はなしのタネ」を出発点に、話しあうことをはじめていきます。
-
最後に
今日の話しあいのなかで、あなたがみつけた発見があれば教えてください。
-
「共事でコエていく」
小松理虔(ローカルアクティビスト)
東日本大震災が活動の起点であり、小松さんが生まれ育った福島県いわき市をさまざまな「潮目」の土地であると語ります。「潮目≒サカイ」の渦中で活動を行う小松さんには、厄災が生んだ「サカイ」がどのように見ているのでしょう。そしてなぜ人は断絶をしてしまうのでしょうか。
また、小松さんは今「共事者」というテーマで連載をされています。その考え方にサカイノコエカタは大きな影響を受けています。震災以降、小松さんが「共事者」に至った経緯を伺いながら、その新しい可能性について話しあいます。 -
「作品でコエていく」
突然、目の前がひらけて(アーティストコレクティヴ)
東京都小平市にある武蔵野美術大学と朝鮮大学校の間には、「壁」が50年以上前から設けられています。そして、この2校は表立った交流が行われていませんでした。しかし、2011年に『突然、目の前がひらけて』のメンバー灰原千晶さんによって制作された「渡れるかもしれない橋」や朝鮮大美術科からの呼びかけなどを機に、両校でさまざまな対話が行われ始めました。サカイの象徴的な「壁」と「橋」。この作品を語ることは、わたしたちにとっても大事な気づきが得られるはずです。
-
「コエカタを見続けること」
川内有緒(ノンフィクション作家)
川内さんはご自身の著書のなかで、さまざまな越境を実践する人々を見つめ、文章にまとめてきました。「空をゆく巨人」では、いわき在住会社経営者志賀忠重さんと世界的な現代美術家の祭國強さんの立場や肩書きをこえた友情(もしくはそれ以上の関係)を綴り、新著「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」(このタイトルの潔さもすごい)では、視覚で鑑賞することがほとんどの現代美術を“全盲で見る”白鳥さんを通じて、新しい鑑賞体験を獲得していく過程が書かれています。川内さんにとって、越境を実践する人々を見続け、文章にすることはどのような意味を持っているのでしょうか?
川内さんの視点は、サカイに対しての別の視座が見つかる予感がしています。 -
「協働することでコエていく」
坂口裕昭&元井淳&石渡美里(FC越後妻有シニアディレクター&GM兼監督&所属選手)
FC越後妻有は、2015年に大地の芸術祭のプロジェクトの一環として生まれました。農業や作品メンテナンス、芸術祭の運営も行いながら、日々サッカーの練習に励んでいます。
なぜ活動のなかに「農業」「芸術祭運営」そして「サッカー」が混ざっているのか?そんな疑問はよそに、結果的にさまざまな分野をコエることで地域の人たちとの協働を生み、盛り上げています。軸足はサッカーに置きながら三足の草鞋(スパイク?)を履く彼女らは、どうそれぞれの分野で協働し、関係性を築いているのか?みんなで聞いてみましょう。 -
「コエられなかった先へ」
北川フラム(アートフロントギャラリー)
日本各地で地域芸術祭のディレクターとして活動される北川フラムさんは、たびたび「私たちはまだ徹底的に排他的である」と話しています。
世界中のアーティストと仕事をしてきたフラムさんの経験から、わたしたち日本人がなぜ排他的になってしまうのかをみんなで一緒に考えたいです。
そして、サカイノコエカタで話しあってきたことを今一度、フラムさんに投げかけてみたいと思います。
-
第1回
12月1日(水) 18:00-20:00
小松理虔「共事でコエていく」
参加募集期間 11月2日〜 -
第2回
12月21日(火) 18:00-20:00
突然、目の前がひらけて
「作品でコエていく」
参加募集期間 11月16日〜 -
第3回
1月18日(火) 18:00-20:00
川内有緒
「コエカタを見続けること」
参加募集期間 12月16日〜 -
第4回
2月11日(金・祝) 15:30-17:30
坂口裕昭&元井淳&石渡美里
「協働でコエていく」
参加募集期間 1月16日〜 -
第5回
2月13日(日) 15:30-17:30
北川フラム「コエられなかった先へ」
参加募集期間 1月16日〜
はぐくむ湖畔
156-0043 東京都世田谷区松原5-2-2 prendre ys 1F
京王井の頭線東松原駅徒歩1分
※状況を鑑みてオンラインで行う場合もございます。
定員:各回 8名(先着順)
参加費:各回 ¥1,000(税込)
ご参加はフォームにご応募ください。
フォーム先の注意書きをお読み頂いた上で、
参加の申し込みをお願いします。
https://forms.gle/TNdBoNKGyxDPqea26
※お預かりした個人情報は、本事業の運営及びお知らせのみに使用します。
- ・社会のなかで起こるさまざまな「断絶」(=サカイ)について知見を広めたい方。
- ・ゲストの活動からサカイのコエカタを知り、自分なりに考えたいという方。
- ・自らの活動を通して社会への働きかけをされている方や、これからその実践をしたいと考えている方。
- ・『東京で(国)境をこえる』の活動に興味をお持ちの方。
※話しあうことがプログラムの中心になります。
質問だけでなく発展的な対話を希望する方の参加をお待ちしています。
「話しあうプログラム サカイノコエカタ」は、アートプロジェクト『東京で(国)境をこえる』のプログラムです。
『東京で(国)境をこえる』とは、多くの在留外国人や海外にルーツを持つ人々が生活する東京で、「東京には見えないことにされている様々な壁がある」という仮説をもとに、その「見えない(国)境」について考察するアートプロジェクトです。東京に生きる人々、特に外国にルーツを持つ人々が感じる個人と他者/社会/世界との境界と、それにまつわる問題を探りながら、日常的に出会う場を生み出す拠点(コミュニティ)の形成を目指して活動しています。
https://www.tokyokokkyo.tokyo/
https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/
本事業は東京アートポイント計画の一環で実施しています。
- ・第一回のレポート https://note.com/tokyokokkyo/n/n541ba1198f31
- ・第二回のレポート https://note.com/tokyokokkyo/n/nb88db11d4e9a
「話しあうプログラム サカイノコエカタ」、これまでの活動レポートです。
企画:小林真行
グラフィックデザイン:宮野 祐
メインビジュアル:友杉宣大
※プログラムの内容は変更になる可能性がございます。