今日観た二本目のパフォーマンスはちょっと直ぐには言葉に出来なさそうだ。情報を直前に知らされたから余計に観ていてショックだったんだけど、どこまで書いていいのかすら分からないのだけど、とにかく俳優が一人、忽然と消えたのだ、このフェスティバルに参加する直前に。8月に。エチオピアを出国する前に。
観劇直後、エグゼクティブプロデューサーのハンナに尋ねると、おそらくunder arrested なのだ。He is in prisoner. という。なぜなら演劇をやっていたからだ、と。
で、けっきょくソロパフォーマンスになった女優に(彼女の演技はもう一人の俳優の不在を補って余りあるほどにパワフルで、それでいてとってもキュートでファニーだった! と、同時にもう一人の俳優の不在を物凄く感じさせる舞台だった。)きっとオスロに着いてから完全に作り直したんだと思う。まるきっり、まさにドキュメンタリー演劇だった。過去のパフォーマンスの記録映像を巧みに使って、不在を浮き彫りにしていた。半分のパートは彼女が演じて、居なくなった彼が演じる芝居の部分は無音で。或いは彼女が代わりに演じて見せて…。
で、とにかく彼女にも尋ねてみると、今、彼がどうしているのか分からない。He Just disappeared. と答えてくれた。最後に、出国の数日前にskypeで話したっきり音信不通なのだという。
ドイツから来たカンパニーなんだけど、何度も繰り返すけどとにかくおそらく政治的な理由で、出演する予定だった俳優が一人忽然と消えたのだ。
そんなことは日本では考えられない、というのは平和ボケだろうか。
とにかくショックだ。パフォーマンスは虚実入り乱れて、もともとポストモダンな造りをしていたんだけど、で、感想はと聞かれたら面白かったとは、や、猛然と面白かったんだけど、面白かったとは軽々に言えないものを観てしまった。という感じ。ショックだ。
この状況下ショウの続行を決めたスタッフ・キャストの気持ちが計り知れない。
劇場で、フィクションじゃない本当のリアルを目撃してしまった。