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骨盤の形をキープするのは筋肉と靭帯

腰を入れ、腰を支えてまっすぐ立つために、(そして歩くために、)必要とされるのは、内転筋や腸腰筋への意識、骨盤底筋群への意識と、股関節の正確な捉えだ。という話をしばしば、稽古中にしている。

その「骨盤底筋群」についての説明もあった。

ファイル 326-1.jpg
※クリックすると図が拡大します。

後ろから見たとき
骨盤を正しい位置で保つためには、骨盤の後ろ側を包む筋肉や、骨盤を上へ引き上げる筋肉、さらに、骨盤底を支える筋肉などが重要になってくる。

骨盤を包む筋肉
骨盤の後ろを包む“外旋筋”の代表例が、大殿筋。この筋肉によって骨盤の形が維持され、引き締まる。しかし、「この筋肉が弱く、凝っている人が増えている」と渡部さんはいう。

骨盤を支える靭帯
骨盤の仙骨と、座骨の間にある仙結筋靭帯。この靭帯がゆるむと、骨盤は下に広いゆるみが出てくる。さらに、この靭帯がねじれて凝ることで、骨盤の機能が落ちてしまう。

骨盤底を覆う筋肉
骨盤の底には、内臓を支えるためにいくつもの筋肉がハンモックのように張り巡らされている。この骨盤底筋群が弱まると、子宮脱や痔、尿失禁などの原因になってしまう。

(「日経ヘルス」 2009年5月号)

  • 2009.04.24 (金) 20:13
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骨盤はこんな形をしている

家人が買って来た雑誌、「日経ヘルス」が面白い。

5月号の特集タイトルが、「史上最強の骨盤バイブル」 史上最強かどうかは分からないけど、イラスト入りでけっこう基礎的なことから説明していて、とてもためになる。身体の理解、把握にとても役立つと思うので、コピーを取ってみた。

ファイル 325-2.jpg

立体的なイラストが、しかもポイントを押さえた上で簡略化されているので、とても分かり易い。

基本的に女性向けの雑誌なので、 「骨盤のゆるみは、下腹ぽっこり、便秘、月経痛、尿漏れの原因になります」 と、女性のための健康維持、体の調子を整えることを主眼において書かれているのだけれど、こういった身体の内部構造の把握は、スズキ・メソッドや、飛龍会のボディワークを行う際にも、そのエクササイズの目的の理解に、とても役立つことだ。

そして何より、指導者にとっては、エクササイズやメソッドを行っているときに、俳優の身体に起きていることを確実に見抜く眼を鍛えるために、俳優にとっては、今、自分の身体に起きていることを精査し、正確に把握できる力を磨くために、絶対に必要なことだと思う。

ファイル 325-1.jpg
※クリックすると図が拡大します。

仙骨 せんこつ
骨盤の中心となっている骨。この仙骨がゆがむと、骨盤全体がゆがんで狭くなり、内臓の働きなどにも影響を与えてしまう。仙骨が飛び出して、あおむけに寝られない人もいる。

寛骨 かんこつ
骨腸骨、坐骨、恥骨の三つの骨で構成される。若年者では軟骨結合により結合しているが、成人では骨結合により癒合している。

腸骨 ちょうこつ
腰の横や後ろでぐりぐり触れる、いわゆる腰骨。チョウの羽のように大きく広がり内臓を支えている。

坐骨 ざこつ
寛骨の下側にあって、座ったときに体を支えている部分。

恥骨 ちこつ
寛骨のうち、前にせり出した部分。下腹部にぐりぐりと触れられる。

腰椎 ようつい
背骨のうち、骨盤のすぐ上の5個が腰椎。骨盤がゆがむと、この腰椎もゆがみ、さらにその上の背骨までゆがんで、首や肩にまで影響してしまう。また、腰椎のゆがみで内臓を圧迫することも。

仙腸関節 せんちょうかんせつ
生理周期に合わせて骨盤が開閉するのは、この仙腸間接の働き。しかし長時間座りっぱなしでいると、凝り固まって動きがにぶくなり、月経痛や月経トラブルの原因に。

大腿骨 だいたいこつ
太ももの骨。大腿骨と骨盤がつながる関節が「股関節(こかんせつ)」、地面に着地した衝撃は、大腿骨→股関節と伝わって、骨盤に届く。骨盤がその衝撃を受け止め、全身を支える働きをする。

骨盤は三つの骨の集合体
骨盤は一つの骨ではない。仙骨と、2枚の寛骨が組み合わさってできている。そのため生理周期や妊娠出産などに合わせて開閉することができる。しかし、その骨同士をつなぐ関節や靭帯にゆがみやゆるみがあると、その働きが十分にできなくなる。

(「日経ヘルス」 2009年5月号)

  • 2009.04.24 (金) 19:46
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| tanise (04.28 16:19) 編集・削除

ご紹介頂けたお陰で入手、うちの(育休中の)振付師にプレゼントできました。
「加瀬先生のWSを受けたときも、仙骨なのよ!とみっちり教わったなー」とか言いつつ、とても喜んでました。

私の頃にはありませんでしたが、今は「トコちゃんベルト」がジョーシキなんだそうで。
お産して1歩目を踏む前にもう装着しておかないと骨盤の戻りが悪いって。
もお骨盤戻ってない人だらけだよ・・・。

| ysht.org url (04.28 17:06) 編集・削除

> taniseさん

コメント有難うございます。加瀬先生のメソッドでも、そうらしいですね。うちにも本が一冊あります。まだちゃんと読み終わっていませんが。

トコちゃんベルトって! そんなグッズがあったんですね。いろいろ調べてみて吃驚しました。すごいなあ。

正しい身体の捉えを目指して

4月中は基礎稽古ばかりやっています。

内容は、先日紹介したような、片岡さんやケイスケに教えて貰った飛龍会系のボディ・ワーク(ケイスケは昔、Tさんがにしすがも創造舎で個人的にやっていた体操教室に通っていたことがある。)と、スズキ・メソッドが中心。

飛龍会の 「胴体力」 という考え方を知ってから、というか、ずっと以前からケイスケに聞きながら少しずつ、自分が消化できる範囲で稽古に取り入れて来てはいたのだけど、

最近になって、片岡さんのボディ・ワークや、書籍などから得た知識が自分の中でミックスアップされて、スズキ・メソッドに対する理解も、ずっと深まって来ている気がします。毎日発見があって、稽古がとても楽しい。

ボディ・ワークもメソッドも、共通する目標は “開かれた” からだを手に入れることだと思う。そして、重心と呼吸を大きく、且つ繊細にコントロール出来るようになること。

誤解されていることが多いんだけど、スズキ・メソッドって、きちんとした手続きを踏みさえすれば、からだを壊したりするようなものでは決してない。

例えば、若い俳優が、スズキ・メソッドをやりすぎて疲労骨折してしうことがある、というのも、きちんと身体を骨盤で支えて動いていればよいところを、歪んだ身体のままやってしまっていたからなのであって、歪みを矯正し、身体の(股関節・骨盤などの)正しい捉えができていれば、そのような惨事は起こらなかったはずなのだ。

また、重心と呼吸をより大きく扱う、というのは、甲野善紀氏が、

型稽古の本質的な意味は、現代ではほとんど誤解されていますが、もともとの、日本の武術における型稽古の優れたところは、「つい動いてしまう」とか、「普通にやっていると動きやすい」動きをあえて不自由に制限することによって、日常から飛躍したレベルの高い動きを、本人が発見できるように組まれていたと思うのです。
 しかし、現在は、型って、ある形を真似して、それを反復練習することによってその動きをスムーズに、自動化していくためのものだと考えている人が多いんですね。

(「響きあう脳と身体」 甲野善紀×茂木健一郎)

と語るところのもの= 「普通にやっていると動きやすい」 動きをあえて不自由に制限することによって、日常から飛躍したレベルの高い動きを、本人が発見できるようにするためのものだし、

繊細にコントロールするというのは、伊藤式の、肩や骨盤の 「細分化」 という発想と同じもので、胴体の細分化が出来ると、例えば手本の動きの模倣なども簡単にできるようになる。これなんか、身体パフォーマンスである演劇にとって、とても重要な要素だと思う。

あるいはメソッドの、重心をわざとブレさせて、その上でそれを制御する。という発想は、 「居着くことを嫌う」 日本武道の教えにもかなっている。 「意識的に不安定な状態を使いこなすことで、予備動作や力みのない “居着かない” 動きを希求」 するという、武術の理合( 「不安定之理」 甲野善紀)に、これも同じだと思うのです。

といって、そもそもスズキ・メソッド自体、能や狂言などの日本の古典芸能や、伝統的な足の捌きを参照して生みだされたものだから、根本の発想が同じであって、当たり前といえば当り前なのだけれども。

見た目を追いかけるのではなく、“所謂” 鈴木メソッドに捉われない、身体の捉えを目指すべく、日々精進しています。

  • 2009.04.20 (月) 23:46
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4月の基礎稽古はボディワーク中心に進めます。

ファイル 313-1.jpg

先週からぼちぼちと、5月のエイヨルフ再演に向けて劇団の基礎稽古を始めています。

今月は通常の基礎稽古に加えて、稽古以前の身体のバランスを整えるボディワークも実施中。ワークの主導をお願いしているのはク・ナウカの俳優、片岡佐知子さん。昨日はその一日目。

基礎的なストレッチから徐々に始めて、飛龍会系の胴体トレーニング(丸める・反る、伸ばす・縮める)や、ヨガの片鼻呼吸、アシュタンガヨガの呼吸法(太陽礼拝)などを丁寧にじっくりと時間をかけて。参加者個々人の身体の歪みを確認し、それを矯正していく。

目標はフラットな身体を手に入れること。より具体的には、胴体のうち、肋骨と骨盤の間をきちんと拡げることと、骨盤を前後にまるめたり反らしたりすることを通してゆがみを矯正すること。股関節と肩甲骨の可動域を広げること。そして胸骨が前傾していたり、肩甲骨が引き上がって(縮まって)しまっているのを矯正するという作業。これをじっくり、参加者限定で、週1回(4時間)×1ヶ月かけて行います。そして、インナーマッスルというのか、コアというのか。からだを支えるのにいちばん重要な、内転筋などの体幹を支える筋肉を作っていきます。

数日前のエントリに書いたことにつながるのだけれど、開いている/閉じているについて。からだが閉じていると心も閉じる。頭が固いと身体も固い。等々、こころとからだはけっきょくすべてつながっている。

身体を矯正するって、それだけ聞くと、とても時間のかかる作業に思えるかも知れないけど、じっさい時間はかかるのだけど、こと俳優のためのトレーニングとして考えるのであれば、感情の解放とか、役作りの方法? とかに比べても確実に一歩一歩、その成果を確かめられる、とても有効なプログラムです。リラクセーション法の獲得にもつながるし。

そして「演技」ということに関していえば、役の「気持ちを作る」よりか、「からだを作る(からだの特定の状態を)」ほうがずっと実際的で、有効なアプローチなのだ。(だいたい「気持ちを作る」なんてことは不可能で、たとえ出来たつもりになったとしても、それは絶対に“安定”しない。)


骨格模型を検索してて面白いものを見つけた。

a woman from inside out
http://www.pelourinho.com/movies/c003702/

人体骨格から女性を描き上げるムービー。普通ここまでやらないらしいけど、デッサンってある程度人間の骨格に対する理解がないと出来ないらしいですね。バレエダンサーは確実にそうらしいけど、演劇も本来そうあるべきだと思う。人間の(骨格や筋肉の)構造に対する理解。必要だと思います。

  • 2009.04.05 (日) 12:07
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「響きあう脳と身体」 甲野善紀×茂木健一郎(2)

甲野さんが紹介していたマサチューセッツ工科大学(MIT)コンピュータ科学・人工知能研究所所長ロドニー・ブルックス氏のエピソードが面白かった。

甲野 それまで人工知能というと、コンピューター上の計算だけで完成させることを目指すのが普通だったのが、ブルックス教授は「身体の世界との相互作用なしにAIは作れないんじゃないか」ということを言ったそうです。(中略)

つまり、身体というのはある種の「制限」ですよね。もし、制限するものがなくて自由自在だったら、お茶を入れるような簡単なことでも、それを思考だけで行おうとすると膨大な情報がいる。しかし身体という制限された「モノ」があることによって、何をしたらいいのかが見えてくる。(中略)

制限があって初めて、無数の情報が編集され、形になるわけですね。これは逆説的といえば逆説的なんですが、身体という限定によって多様なものが生まれてくるということなんじゃないかと思うのです。

ロドニー・ブルックス氏は人工知能の第一人者。

上記ウィキでも紹介されているけど、人間型ロボット製作ってそれを通じて「人間の知性を理解する」ためのものでもあるんだよな。人間の身体を考える上ではむしろ、下手な心理学やスポーツ科学なんかよりロボット工学とか、人工知能研究の知見のほうが興味深い。

昨年の末に噂になったロボット演劇も、そういう意味では非常に価値のあるプロジェクトだと思う。

ところでここでは「制限」と書かれているけど、実際には制限ではなくて、より厳密にいえばきっと自由はそもそも不自由なのだ。ということなのだと思う。武術や古典芸能の型や様式などに通じる考え方がある。また別な個所からの引用になるのだけど、

甲野 型稽古の本質的な意味は、現代ではほとんど誤解されていますが、もともとの、日本の武術における型稽古の優れたところは、「つい動いてしまう」とか、「普通にやっていると動きやすい」動きをあえて不自由に制限することによって、日常から飛躍したレベルの高い動きを、本人が発見できるように組まれていたと思うのです。
 しかし、現在は、型って、ある形を真似して、それを反復練習することによってその動きをスムーズに、自動化していくためのものだと考えている人が多いんですね。

という、この「あえて不自由に制限することによって、日常から飛躍したレベルの高い動きを、本人が発見できるように」するという感覚。これはとても、例えば鈴木メソッドなどをやっていてもよく分かる。あるいは、パントマイムにしろバレエのバーレッスンみたいなものにしても、本来その形そのものに意味があるのではなくて、その形を通して身体に宿らせる力や動きの溜め、みたいなものや、その動きを通して発生する純度の高められた感覚のほうがずっと大事なものなのだ。

  • 2009.01.24 (土) 09:55
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