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shelf 新作 [deprived(仮)] 無事に初日の幕があけました。

晴れましたね。好かった。さて、本日二日目です。劇場で、お待ちしております。

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  • 2014.04.04 (金) 13:25
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  • Yasuhito YANO

日付も変わって本日初日です。

劇場入り、というのも憚られるくらいにささやかなひそやかな会場ですが、キッド・アイラック・ホール 5Fギャラリー、とても心地よい空間です。バルコニー付き。

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写真は慶子前にバルコニーで寛ぐ三橋麻子さんと、鈴木正孝氏 (一徳会/K・A・G) のお二方。

おかげ様で、本日初日 4/3(木)及び 4/4(金)の夜の回、に続いて 4/5(土)の昼の回も前売りを完売致しました。満員御礼! です。

感謝×感謝!

そしてそして、4/6(日)ソアレ19:00~の回を追加公演として上演することに致しました! なので、土曜夜、及び日曜昼夜と明けて 4/7(月)の夜の回は、まだお席に余裕があります。ご観劇ご予定の方はぜひ。お席に余裕があるといっても定員15名程度のちいさな会場ですので、あっという間に売切れてしまう可能性大です。ご観劇ご予定の方はぜひ、お早目のご予約をお願い致します。

あ、と各回とも若干枚数ですが当日券の販売も致します。場合によってはお立ち見になってしまう可能性もありますが、ご来場頂いた方には出来るだけお帰り頂くことのないよう配慮致しますので、詳細は、090-6139-9578 (shelf) まで、お問い合わせ下さい。

皆さまのご来場、心よりお待ちしております。

  • 2014.04.03 (木) 00:39
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  • Yasuhito YANO

[deprived(仮)]制作のための参考資料 11

昨夜遅く届いた知人の (恩師) の訃報。

俄かには信じ難い。…というか、信じたくない。ありえない。どうして人は死ぬのでしょうか。拙い、文学青年めいた言い方しか出来ませんが、僕にはそれが本当にまだ分からないのです。

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分からないままに、しかし時は残酷に等しく平等に過ぎていく。そして、明日 4/3(木) には、自分の劇団の新作公演が初日を迎えてしまったりする。ちょっと残酷すぎます。無常とはそういうことなのでしょうか。アパートを出れば大家さんちの桜が満開でした。
 

「不思議な出会い Strange Meeting」 (1918)

どうやら私は戦いの場から脱けたらしい。
なにか深い、薄暗い隧道を通って、
がんこな岩を長い間かけて戦争が掘りぬいた、丸天井をもつ場所に。

そこには、しかし、眠りにつけない人たちがうめいていた。
自分の思いに沈んでいるのか、もう死んでいるのか、身動きしない人もいた。
さわってみると、なかのひとりが急に身をおこした。
私を見つめるまなざしには哀れみがこもっていた。
力なく両手をあげ、祝福するような身ぶり。
彼の微笑で私にはわかった、この陰気な部屋が。
死相を帯びたその微笑で、私は今地獄に立っていることを知った。

千の苦痛に、その面影はいろどられてはいたが、
地上で流された血のあとはもはやそこにはなかった。
砲声のとどろきはきこえず、かすかに送風管が悲しげな音をたてるだけだった。
「見知らぬ友よ」 と私は言った、「悲しむべきことはここには何もありませんね。」
「何も」 と相手はこたえた、「生きられなかった年月のことを除いては。
もはや希望をもたずにここにいるしかありません。あなたに希望があったように私にもありました。
この世で一番あらあらしい美を求めて私は狩に没頭しました。
おだやかなまなざしやきれいに編まれた娘の髪型にやどる美しさとはちがって、
時間にあわせたきまりきった動きをからかうような、
もし悲しむとすればここで、よりゆたかに悲しめるような、美しさ。
私がたのしめばそこでたくさんの人たちがともに笑い、
私が泣く時には、それでも何かそこにのこるはずだったから。
それは今は死ぬ他ありません。それは、語られなかった真実、
戦争の悲しみ、戦争のそだてた悲しみです。
今は、私たちが心ならずもたらした戦利品にごまかされて人びとは今までどおりのくらしをつづけるでしょう。
いや、満足せずに、いらだってまた殺しあいということになるでしょう。
戦争屋はまた、虎のようなすばやさですばやく動き、
世界の国々は臆面もなく進歩の大道からはずれて、軍の隊列を乱すものとてなく。
私には勇気があった。現在をこえる不思議な予感も。
私には知慧があった。自己をおさえる力も。
堅固な城壁なき見せかけのお城へと退却をつづける隊列から、ひとり離れるだけの力が。
だから、戦車の道が流血でとざされた時、私は、きれいな水のわきでる泉からくんで洗おうとしました。
血でよごされないほどの深みにまだかくれていた真実でもって、戦車を。
私の心のたけをそのためにつかい果たしたかった。
肉の傷口から流れだす血によってではなく、国に支払う税金としてでもなく。
兵士の額の見えない傷口から、血はいつも流れてやみません。
友よ、私は、あなたの殺した敵です。
この暗いなかでも、すぐに私にはあなたがわかりました。顔をしかめていたから。
きのう、私をさし殺した時も、おなじように顔をしかめていました。
私は、かわそうとしたが、両手は動かず、もうつめたかった。
さあ、ともに眠りにつきましょう。」

『たたかいの記憶 ―― 新・ちくま文学の森9』 鶴見俊輔 他、編(筑摩書房、1995年)

Strange Meeting

It seemed that out of the battle I escaped
Down some profound dull tunnel, long since scooped
Through granites which Titanic wars had groined.
Yet also there encumbered sleepers groaned,
Too fast in thought or death to be bestirred.

Then, as I probed them, one sprang up, and stared
With piteous recognition in fixed eyes,
Lifting distressful hands as if to bless.
And by his smile, I knew that sullen hall;
By his dead smile I knew we stood in Hell; 
With a thousand fears that vision's face was grained;
Yet no blood reached there from the upper ground,
And no guns thumped, or down the flues made moan.

"Strange, friend," I said, "Here is no cause to mourn."
"None," said the other, "Save the undone years,
The hopelessness. Whatever hope is yours,
Was my life also; I went hunting wild
After the wildest beauty in the world,
Which lies not calm in eyes, or braided hair,
But mocks the steady running of the hour,
And if it grieves, grieves richlier than here.

For by my glee might many men have laughed,
And of my weeping something has been left,
Which must die now. I mean the truth untold,
The pity of war, the pity war distilled.

Now men will go content with what we spoiled.
Or, discontent, boil bloody, and be spilled.
They will be swift with swiftness of the tigress,
None will break ranks, though nations trek from progress.

Courage was mine, and I had mystery;
Wisdom was mine, and I had mastery;
To miss the march of this retreating world
Into vain citadels that are not walled.

Then, when much blood had clogged their chariot-wheels
I would go up and wash them from sweet wells,
Even with truths that lie too deep for taint.
I would have poured my spirit without stint
But not through wounds; not on the cess of war.
Foreheads of men have bled where no wounds were.

I am the enemy you killed, my friend.
I knew you in this dark; for so you frowned
Yesterday through me as you jabbed and killed.
I parried; but my hands were loath and cold.
Let us sleep now ..."

 
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ウィルフレッド・エドワード・ソールター・オーエン (Wilfred Edward Salter Owen) | 1893年 - 1918年

第一次世界大戦に従軍し25歳で戦死したイギリスの詩人。

  • 2014.04.02 (水) 11:53
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  • Yasuhito YANO

[deprived(仮)]制作のための参考資料 10

今回僕がやりたいことはたぶんきっとこういうことなんだと思う。彼女はこの序文を書いた10ヶ月後に亡くなった。

< 若い読者へのアドバイス…

(これは、ずっと自分自身に言いきかせているアドバイスでもある)

人の生き方はその人の心の傾注 (アテンション) がいかに形成され、また歪められてきたかの軌跡です。注意力 (アテンション) の形成は教育の、また文化そのもののまごうかたなきあらわれです。人はつねに成長します。注意力を増大させ高めるものは、人が異質なものごとに対して示す礼節です。新しい刺激を受けとめること、挑戦を受けることに一生懸命になってください。

検閲を警戒すること。しかし忘れないこと—社会においても個々人の生活においてももっとも強力で深層にひそむ検閲は、自己検閲です。

本をたくさん読んでください。本には何か大きなもの、歓喜を呼び起こすもの、あるいは自分を深めてくれるものが詰まっています。その期待を持続すること。二度読む価値のない本は、読む価値はありません (ちなみに、これは映画についても言えることです)。

言語のスラム街に沈み込まないよう気をつけること。

言葉が指し示す具体的な、生きられた現実を想像するよう努力してください。たとえば、「戦争」 というような言葉。

自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考えるのは、なるべくしないこと。自分についてはまったく、または、少なくとももてる時間のうち半分は、考えないこと。

動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、よその国に住むこと。けっして旅することをやめないこと。もしはるか遠くまで行くことができないなら、その場合は、自分自身を脱却できる場所により深く入り込んでいくこと。時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。場所が時間の埋めあわせをしてくれます。たとえば、庭は、過去はもはや重荷ではないという感情を呼び覚ましてくれます。

この社会では商業が支配的な活動に、金儲けが支配的な基礎になっています。商業に対抗する、あるいは商業を意に介さない思想と実践的な行動のための場所を維持するようにしてください。みずから欲するなら、私たちひとりひとりは、小さなかたちではあれ、この社会の浅薄で心が欠如したものごとに対して拮抗する力になることができます。

暴力を嫌悪すること。国家の虚飾と自己愛を嫌悪すること。

少なくとも一日一回は、もし自分が、旅券を持たず、冷蔵庫と電話のある住居をもたないでこの地球上に生き、飛行機に一度も乗ったことのない、膨大で圧倒的な数の人々の一員だったら、と想像してみてください。

自国の政府のあらゆる主張にきわめて懐疑的であるべきです。ほかの諸国の政府に対しても、同じように懐疑的であること。

恐れないことは難しいことです。ならば、いまよりは恐れを軽減すること。 自分の感情を押し殺すためでないかぎりは、おおいに笑うのは良いことです。

他者に庇護されたり、見下されたりする、そういう関係を許してはなりません—女性の場合は、いまも今後も一生をつうじてそういうことがあり得ます。屈辱をはねのけること。卑劣な男は叱りつけてやりなさい。

傾注すること。注意を向ける、それがすべての核心です。眼前にあることをできるかぎり自分のなかに取り込むこと。そして、自分に課された何らかの義務のしんどさに負け、みずからの生を狭めてはなりません。 傾注は生命力です。それはあなたと他者とをつなぐものです。それはあなたを生き生きとさせます。いつまでも生き生きとしていてください。

良心の領界を守ってください ……。

2004年2月

スーザン・ソンタグ

『良心の領界』 スーザン ソンタグ著、木幡和枝訳(NTT出版)より
 
原文抜粋

Susan Sontag, Author
Vassar College, Poughkeepsie, NY
Despise violence. Despise national vanity and self-love. Protect the territory of conscience.

Try to image at least once a day that you are not an American. Go even further: try to imagine at least once a day that you belong to the vast, the overwhelming majority of people on this planet who don't have passports, don't live in dwellings equipped with both refrigerators and telephones, who have never even once flown in a plane.

Be extremely skeptical of all claims made by your government. Remember, it may not be the best thing for America or for the world for the president of the United States to be the president of the planet. Be just as skeptical of other governments, too.

It's hard not to be afraid. Be less afraid.

It's good to laugh a lot, as long as it doesn't mean you're trying to kill your feelings.

Don't allow yourself to be patronized, condescended to - which, if you are a woman, happens, and will continue to, happen, all the time.

Do stuff. Be clenched, curious. Not waiting for inspiration's shove or society's kiss on your forehead.... Pay attention. It's all about taking in as much of what's out there as you can, and not letting the excuses and the dreariness of some of the obligations you'll soon be incurring narrow your lives. Attention is vitality. It connects you with others. It makes you eager. Stay eager.

You'll notice that I haven't talked about love. Or about happiness. I've talked about becoming - or remaining - the person who can be happy, a lot of the time, without thinking that being happy is what it's all about. It's not. It's about becoming the largest, most inclusive, most responsive person you can be.
 

「最良の批評とは(まことに稀少なものだが)、内容への考察を形式への考察のなかに溶解せしめる種類の批評である」 或いは、「文学の任務のひとつは、問いを提出して、支配的なもろもろの信念に対抗する表明を構築することです。」 という言葉も強烈な印象を持って今も僕の中にある。

そういえば、稽古後のフィードバックのときに路上で、数日前にみんなに、僕は今回 「中身」 と 「器」 を両方とも一緒に変えたいのだよ。と語ったのだった。俳優の演技の内実と演技の方法、作品のメッセージと伝え方。否、そもそも社会において、演劇作品を上演する。そのことの意味と方法。公演を行うということそのものの在り方を、なんというか、変えたい。脱臼させたい。ということなのだけど、いやはや。難しいハードルを自分に課してしまったものです。
    
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スーザン・ソンタグ(Susan Sontag) | 1933年-2004年

アメリカの著名な作家、エッセイスト、小説家、知識人、映画製作者、運動家。人権問題についての活発な著述と発言で、その生涯を通じてオピニオンリーダーとして注目を浴びた。批評家としてベトナム戦争やイラク戦争に反対し、アメリカを代表するリベラル派の知識人として活躍。著書に、『私は生まれなおしている』、『反解釈』、『写真論』、『火山に恋して』、『良心の領界』 等。

  • 2014.03.25 (火) 12:43
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  • Yasuhito YANO

[deprived(仮)]制作のための参考資料 9

稽古、稽古の日々です。shelf volume 17 新作[deprived(仮)]も、気付けば初日まで残すところあと10日。参考資料、というか引用するテキストについて、一昨日アマンダからの提案もあってブレヒトも視野に入れることにしました。…正直今まできちんと向き合うの避けてたんだよなブレヒト。ベケットもそうなんだけど、ちょっといろいろと存在がデカ過ぎて。
 
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上の写真はたまたま残してあった1996年に制作されたアレクサンドル・ダリエ演出、企画・制作銀座セゾン劇場の 『セツァンの善人』 のパンフレット。札幌で見たおそらくは僕の人生で最初のブレヒト作品。もう20年近く前になるのか。ふう。
 
 
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ベルトルト・ブレヒト(Bertolt Brecht) | 1898年-1956年

ドイツの劇作家、詩人、演出家。アウクスブルク出身。ミュンヘン大学時代より文学活動を始め、1922年に上演された 『夜うつ太鼓』 で一躍脚光を浴びる。代表作に 『三文オペラ』 『肝っ玉お母とその子供たち』 『ガリレイの生涯』 など。第二次大戦中はナチスの手を逃れて各国で亡命生活を送り、戦後は東ドイツに戻りベルリナーアンサンブルを設立、その死までの活動拠点とした。政治やマルクス主義との関わりから、役への感情移入を基礎とする従来の演劇を否定し、出来事を客観的・批判的に見ることを観客に促す ために、報告や叙述を行なったりコーラスや映像によって註釈をつけたりする 「叙事的演劇(an epic theatrical play)」 を提唱した。その方法として、見慣れたものに対して奇異の念を抱かせる 「異化効果(alienation)」 を始めとするさまざまな演劇理論を生み出し、戦後の演劇界において大きな影響力を持った。

  • 2014.03.24 (月) 14:32
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