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shelf volume13 [edit]無事終演しました。

少ないステージ数ではありましたが、おかげさまで初日前には全日完売。日曜日夜に追加公演を行って、ご招待を含めて総勢220名超のお客様にご来場いただけました。1ステージ40名弱×6ステージですからカツカツですね。観劇環境のあまりよくないなか(座席とか、座布団桟敷だし、)それでもこれだけ多くのお客様にご来場いただけたことをとてもうれしく思います。おかげさまでリピータのお客様も増えてきました。本当にうれしい。

終演後は、もっといろいろな人と話ししたかったな。トーク!も刺激的だったけど、そのあとの交流会で、お客様やトーク・ゲストの皆さんとドリンク片手に話し込んだお話が率直に言ってずっと刺激的でした。実に意義あるものだったと感じています。お客さんの感性って、本当に鋭い。こちらが明確に意図していなかったもので舞台上に挙げられていた要素をくみ取って、つないで、自分の物語に仕立て上げてくれている人がとても多い。それらは一つ一つぜんぜん違ってたりもして、それがまた僕にはとても楽しい。

作りたいのは、観客の感覚や思考の加速装置なんですね。観客の皆さん、キャストと(スタッフも)で、己の知覚を刷新したい。観客の皆さんと、今まで見えていなかった新しい世界を開きたい。

絵画に例えると具象ではなく、抽象絵画なので、積極的に参加して貰えないと、舞台が成立しないんですね。方法とか、形式とかコムツカシイことではなく、自分の人生と照らし合わせて作品と向き合ってほしい。そんな風に考えながら、shelfでは作品を作っています。

なにより、人生で限られた時間を、同じ場所に集まり、同じ空間を共にして。感じられたこと、考えたこと、それは何でもいいのですが、それを身体で、共有できたことが何より嬉しいです。ほんの一時でもつながることが出来た! そんな気がする瞬間に僕は震えます。

本当に、いいお客様たちばかりだった。またやりたいな。この作品。

昔、某青○団に所属していたころ、お前の作りたいものは現代芸術だ。他者との共同作業を前提にしていない! 演劇じゃない、と怒られたことがありました。

そのときは自分の本来的な欠陥を指摘された気がして演出、向いていないのかな? と相当に落ち込んだのですが、けっきょくそうはいっても自分に出来ることって一つか二つくらいしかなくって、今もその感覚は変わっていません。というか、続けていくうちに、中途で開き直りました。結果的に「演劇」とカテゴライズされることにはやぶさかではないのですが、もっと広く、「舞台芸術」として、豊かな時空間を作りたい。そう思っています。

コンセプチュアルアートは好きじゃないんですが、まず演出家の直観があって、それをモチーフやコンセプト、演出ノートなどに落とし込んで、それを軸にテキストを集めて、場合によってはスタッフや俳優にもテキストを持ち込んで貰って、足したり、削ったり。

それを演出家が密室で、四苦八苦して構成台本に挙げる、というのではなく、稽古場でみんなで 読み合わせをしながら、エチュード的なムーブメントをくり返しながら、都度フィードバックを俳優から貰いつつ、俳優にフィードバックを返しつつ二人三脚で構成台本を作り上げていく。

そういう作業は、ひょっとすると共同演出とか、集団創作というやり方で今までやられてきたものに近いかもしれません。

でも、最終的には演出家である矢野が、育った樹木の枝葉を切って、伝えたいことをシンプルに、出来るだけシンプルに舞台上に造形する。最終的な芸術上の責任は自分が持つ。

この段階では、もうモチーフは常に(迷ったら)立ち返る場所で、みんなでテキストを中心にして身体にそれを紡ぎだしていく。もちろん、言葉はイメージなので、やって行くうちにどんどん横滑りしたり、勝手に展開したりしていきます。そこの手綱をどう引き締めるか。それも演出家の仕事だと思っています。あとドラマトゥルクの荒木まやさんの功績は非常に大きい。僕が迷走しかけたときにたった一つの質問で、大事なことに立ち返らせてくれる。本当に、感謝、感謝です。

でも昔に比べるとずいぶんいい意味で乱暴に構成台本を作っています。すごく観念的なテキストを与えてもそれを身体化し、舞台芸術にしてくれる俳優があって、それで可能になったことなのですが、そういう意味で、俳優と演出との関係について、今までにない、ちょっと新しい創作方法に、僕らは挑戦しているのかもしれません。

shelf次回は、12月第一週・第二週@三重・長久手の連続公演です。三島由紀夫の『近代能楽集』から、shelfは「班女」と「弱法師」をやります。キャスティングが概ね決まったので、本日情報リリースです。第七劇場と同じ演目を一本(班女)、違う演目(といってもどちらも『近代能楽集』からですが、)もう一本と二作品ずつやります。合同公演です。

夏はひたすら基礎体力と演技メソッドの訓練に集中して、秋口からじっくり作って行く予定です。

中部地方のお客様、是非ご期待くださいませ!

  • 2012.06.01 (金) 04:40
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  • Yasuhito YANO

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