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近代戯曲研修セミナー 「森本薫を読む!」 ドラマ・リーディング出演者紹介 ②

「森本薫を読む!」 出演者紹介第二弾です。今日は 『記念』 という、コレも 『薔薇』 と同じくもともとはラジオドラマとして書かれた15分ほどの小品の、その出演者紹介をさせて頂きます。

『記念』 は、16年前に東京で別れた男女が偶然、夜の米原駅で再会する。別れた男女が別な土地で再会するというだけでも劇的なのに、お互い乗り換えのため話すことが出来たのはほんの15分ほど。時は流れ、お互い若くもない年頃になっていて、しかし二人の心にそれぞれに去来する様々な思い出。という、これがまた短いのに凄く良く出来たシナリオで、傍で聞いていても胸がきゅんきゅんするようなとても素敵な作品なんです。

この作品は10日(月)と11日(火)とでまったく別の俳優によるダブルキャストでお送りします。林英樹さんと千賀ゆう子さんにお願いするのは二日目、11日(火)19:00~の回です。

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林英樹

早稲田大学文学部 演劇専修科卒業。武智鉄二氏の武智歌舞伎塾に参加、同時に竹本相生太夫氏に浄瑠璃を学ぶ。 文化庁在外研修でオランダコンセルバトワール、ロンドンスタジオシアターに学ぶ。学生時代に演劇集団アジア劇場設立、劇作と演出を担当する。 1985年にシアタープラン・テラ(現テラ・アーツ・ファクトリー)を創立。1990年代は海外でのワークショップや上演、共同製作活動を活発に行う。1995年より演劇の全世界組織ITIUNESCO(国際演劇協会・本部パリ)国際理事を務める。 現在、テラ・アーツ・ファクトリー代表。日本演出者協会事業部、国際部担当。社団法人国際演劇協会(ITIユネスコ日本センター)理事・事業担当。日韓演劇交流センター委員。 代表作: 『風の匂い』 シリーズ、『サバイバル・コロニー』劇作、『メタアイランド』 シリーズ構成・演出、『SPIRARE』 『CATALY』 『デスデモーナ』 の海外上演構成・演出。

さて林さん。きちんとお話したのは今回の企画を通して初めてでしたが、前々からお名前は一方的に存じ上げていましたし、ITI(国際演劇協会日本センター)の 「紛争地域から生まれた演劇」 シリーズなどでもお会いしたことがありました。

ちょっと変なご紹介になりますが、何日目だったかの研修後の飲みの席で、安倍晋三内閣総理大臣と同い歳(1954年生まれ)と聞いて、そしてまた(僕の記憶なので正確じゃないかも知れませんが、)林さんが、 「だから、安倍晋三の考えてることは、ちょっと分かるんだよなあ。」 と仰っていたのがとても印象に残っています。もちろんその後に「だからって共感はしないし、決して認められない。」ということも仰ってましたけど。

上手くいえないけど、きちんと 「演劇」 を 「活動」 と捉えて、(というか、そもそも日本の近代以降の演劇は、新劇にしろアングラにしろ社会的な、社会を変革するための運動として始まったものなのだ、という日本の特殊な歴史的経緯もあるのですが、)しぶとく逞しく 「社会」 を 「変革」 するために活動を続けている闘士。というような印象を僕は林さんに対しては持っています。

本業は劇作と演出で、俳優としての活動は殆どされていないようですが、そこはそれ、長年培ってきた経験と知性と年輪とで、とても素敵な芝居をなさいます。千賀さんというこれまた歴戦の猛者と組んで、しかし作品はしんみりと、(好い意味で)少し枯れかかってもいるような、春日の言葉を借りるととても美しいドライフラワーのような作品をお届けします。

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千賀ゆう子

俳優、演出家。1966年より早稲田小劇場に10年在籍。脱退後、劇団眞空鑑創立に参加。解散後、1982年に千賀ゆう子企画を設立。現在、特に言語性と身体性を根源的に問い直す実験的な舞台活動を行っている。活動は広範囲におよび、自身による企画制作、構成演出による作品の上演を続けながら、他劇団への客演、プロト・シアター実験演劇シリーズなどのプロデュース公演への出演、舞踏から古典/民話/現代詩の語りまでと、全国各地で様々な舞台に出演している。また、東京/音や金時において、音楽家たちとの即興演劇などライブ活動も行う。一方語りの分野では、古事記、平家物語、近松作品等古典から、民話、童話、小説、現代詩まで、新しい形での“語り”ドラマリーディングの活動を展開している。坂口安吾(20年)、岡本太郎・かの子、泉鏡花、宮沢賢治、他多数。特に平家物語は、建礼門院ゆかりの京都長楽寺の依頼により10年間上演。平家を語り続けて20年以上、自ら主催するワークショップ、「原文による 『平家を語る』 」 も1999年以降、継続して行っている。CDに 『建礼門院・小宰相の巻』 2枚組、 『語り 「桜の森の満開の下」 』 がある。1996年には、ポーランドはルブリン市で復活されたコンフロンテーション国際演劇祭にアジアから唯一招かれ、SENGA UNITとして 『古事記をめくる』 を、またワルシャワ大学の招きで 『曽根崎心中』 を上演。以降、ポーランドでは毎年公演を続けている。1997年には、韓国の劇団舞天(むっちょん)主宰の金亜羅さんに俳優として招聘され、同劇団の公演 『オイディプス2』 制作のため1ヶ月チクサンに滞在。2002年には、千賀演出のギリシア悲劇 『オレスティア』 をポーランドとギリシアで公演し、その活動の視野を益々世界的に広げつつある。

で、千賀さん。女性の年齢を書くのは差し控えますが、いやもう何といっても20世紀以降の世界を代表する演出家、鈴木忠志さんの(そして立ち上げ当時にはこちらもまた世界的に有名な劇作家、別役実さんも所属していた)「早稲田小劇場」 に在籍していらっしゃったという、ただそれだけで僕なんかもう、ひれ伏してしまう感じです。

早稲田小劇場といえば、60年代に社会を揺るがしたアングラ(アンダーグラウンド演劇。多くの劇団がテントや仮説の劇場など、既存の劇場及びそのシステムを否定して、自ら新しい 「劇場」 を求めた演劇運動)の雄。そして早稲田小劇場脱退後には、その後にこれまた伝説の 「劇団眞空鑑」 創立に参加されたということですから、僕なんかぜんぜん生まれてなかった頃から最前線で戦って来られた方です。

正直ちゃんとお会いして一緒に研修を行うまではちょっとびびってたんですが、(苦笑)お会いしてまた吃驚。本人に面と向かって申し上げるとちょっと失礼になってしまうかもしれませんが、とってもチャーミングで、素直で、(これ、実はとっても難しいんです。演劇を長くやってくると自身の思想のようなものが堅く確立されてきて、なかなか柔らかな思考を保つことが出来なかったりするんです。)あと、どこか不器用というか、ああ。きっととても、シャイな方なんですね。

きっと。

千賀さん、実は生憎と身体を痛めていらっしゃっていて、1日のみの上演なのですが、林さんと二人で、成果発表上演は2日目の3月11日(火)に出演して下さいます。

と余談ですが、11日(火)のドラマ・リーディング 『記念』 には 「ト書き」 役(?)として矢野も参加します。 shelfのファンの方には10日(月)の青井陽治さんと川渕優子の組もぜひご覧頂きたいのですが、(1日目は川渕、『薔薇』 『記念』 と二作品連続出演します。)というか、いやもう、出来ることなら二日間とも観に来て頂きたいくらいなのですよ。ホント。

  • 2014.03.08 (土) 07:32
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  • archive::日本の近代戯曲研修セミナー 「森本薫を読む!」
  • Yasuhito YANO

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