shelf volume05 「構成・イプセン ― Composition / Ibsen」


提携 / 七ツ寺共同スタジオ
後援 / ノルウェー王国大使館 イプセンイヤー2006
制作協力 / 東海シアタープロジェクト

>> 舞台写真をUPしました! 2006/12/06

小劇場演劇やダンス、パフォーマンスの レビュー、劇評を掲載し続けている
インターネット・マガジン 「wonderland」 に、
「構成・イプセン−Composition / Ibsen」の 劇評が載りました。
NEW!!
>> 劇評 2007/02/04
執筆は、批評家の大岡淳さんです。
長文・力作の劇評です。宜しければご一読下さいませ。

[原作]
 
[構成・演出]
 
ヘンリック・イプセン 『幽霊』 より
Written by Henrik Johan Ibsen
矢野靖人
Composed and directed by Yasuhito Yano


photo:Mari Harada
model:Mayu Fujii


2006年11月、shelf は名古屋公演を行います。
提携:七ツ寺共同スタジオ、制作協力:東海シアタープロジェクトでお送りするのは、イプセンの 「幽霊」


愛のない結婚を否定しつつも、因襲的な観念に縛られて放縦な夫のもとに留まり、
家名を守るため偽善に終始してきたアルヴィング夫人。
夫の偽りの名誉を讃える記念式典を前に、可愛い一人息子のオスヴァルも帰ってくるが、
因襲の幽霊がふたたび夫人の前にあらわれる。

ギリシャ悲劇に比せられるべきイプセンの傑作を、 同じくイプセンの「人形の家」は、
ノーラのテキストを補助線に、shelfがイプセンの世界を再構築します。

どうぞ、ご期待下さい!


[出演]

cast:
川渕優子 Yuko Kawabuchi (shelf
木母千尋 Chihiro Kibo (第七劇場
佐直由佳子 Yukako Sajiki (第七劇場
凪 景介 Keisuke Nagi (Ort-d.d
三橋麻子 Mako Mitsuhashi (Ort-d.d

 

[音響]

[照明]
 
[衣装]
 
[写真]
 
[宣伝美術]
 
[舞台監督]
  
[制作協力]

[提携]

[製作]

和田匡史(第七劇場
sound designer: Masashi Wada
木藤歩 (balance,inc.
lighting designer: Ayumi Kito
竹内 陽子 (竹内衣装
costume designer: Yoko Takeuchi
原田真理
photographer: Mari Harada
西村竜也
Graphic designer: Tatsuya Nishimura
宮田公一
stage manager: Koichi Miyata
東海シアタープロジェクト
Production cooperation: Tokai Thetre Project
七ツ寺共同スタジオ
Tie-up: Nanatsudera Kyodo Studio
shelf / 矢野靖人
producer: shelf / Yano Yasuhito

[日時] 2006年11月30日(木)〜12月3日(日)
30(木)
12/1(金)
12/2(土)
12/3(日)
14:00
14:00
14:00
  19:00 ★
  19:00 ★
  19:00 ★

□ 開場は開演の20分前 受付開始は開演の60分前です。
□ 
★の回は終演後、演出家とゲストによるポスト・パフォーマンス・トークを開催します。
[場所] 七ツ寺共同スタジオ Nanatsudera Kyodo Studio
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須2丁目27-20  tel/052-221-1318
地下鉄鶴舞線「大須観音駅」下車 2番出口徒歩5分
地下鉄名城線「上前津駅」下車 8番出口徒歩10分

>> クリックすると地図を表示します



■ 演出ノート― ご挨拶にかえて 
* 当日パンフレット掲載

戯曲「幽霊」は19世紀、宗教・社会制度・旧弊に雁字搦めのノルウェー社会にあって、性病(主人公の息子は梅毒に犯されています)や近親相姦、未婚の出産問題などを取り扱い、様々なスキャンダルを巻き起こした問題作です。

本作品「配役」にある「ノーラ」は、他がすべて戯曲「幽霊」の登場人物そのままなのに対しこれのみイプセンの前作「人形の家」のヒロインの名前になっています。これは戯曲「人形の家」の主人公 ――「妻であり母親である前にひとりの人間であること」を求め子供と夫、家庭を捨てた(そしておそらくはその先で破滅を迎えたであろう)ノーラと、息子と夫の権威、世間体を守り家庭を守るために自己を偽り続けた結果全てを失ったアルヴィング夫人とが、イプセンの描こうとした根源的なモチーフのコインの表裏をなしている、そのこと(・・)の本質をより明確な、1コのビジョンとして舞台上に提示したいと考えたからです。

再構築したパフォーマンス作品である本作の主題は「性」、即ち「生」と、そして「死」とに振り回される人間の「存在」そのものです。発表当時のセンセーショナルな要素を直接に描くのではなく、現象としては一旦水面下に沈めつつも「性的」な要素については作品の随所にちりばめ、結果、観るものの身体にズシリと印象を残し、感覚に痕跡を残すような構成を企図しました。

と、まあ、コムツカシイことを書き述べましたが。それでも僕が、けっきょくのところ皆様にお楽しみいただきたいのは、人間というこの興味の尽きない存在の限りない愛しさであり、どうしようもない、ヤルセナサ、のっぴきならなさソノモノ、だったりします。上記で述べたような理屈や時代背景はさておき、いわゆるお話としての物語を楽しむのではなく、どちらかといえば絵画のような、一連のイメージの連なりとして、お楽しみいただければ幸いです。

上演時間は約90分です。どうか、ごゆっくりお楽しみ下さい。

構成・演出 矢野靖人



■ notes 
* フライヤー掲載テキスト

イプセンは創作に際し家庭劇、ことに現代劇にその基礎を置いた。それは一般に、当時の生活状況や道徳問題について、自らの批評や疑問を紹介するためであったと云われている。しかしながら現在、彼の戯曲がいまだ有効なのは、そこに提示された疑問や批評そのものによってではない。むしろその疑い続けるという姿勢そのものであり、酷薄なほど徹底した人間に対しての客観、悪意にも似た冷ややかな視線がそこに内在する故である。

戯曲「幽霊」において描かれる幽霊とは即ち、広く人間の因襲のことである。そしてまた、遺伝・宗教・社会制度・歴史・家庭等、人間を規定する―しかし実体のない―人間を取り巻く様々な枠組そのものをも含意している。

我々は日常、様々な慣習や常識・理性や、広くは文化といった後天的な制約によって、かろうじて社会と精神の均衡を保っている。にも関わらず「幽霊」は、そこには実はなんの根拠のないことを暴いてしまう。それらすべてを「幽霊」にすぎないと断じ・切り捨てたとき、わたしたちの眼前に日常の深い裂け目が顕わになる。

わたしはその場に立ちすくむ。

足元が揺らぐ。

逃れようとしても決して逃れることはできない、のっぴきならない現実に眩暈を覚える―

「構成・イプセン ― Composition / Ibsen」は、イプセンの戯曲「幽霊」を主軸に、同じく「人形の家」はノーラのテキストを補助線として、近代以降の人間の精神の在りようを改めて検証する試みである。

ギリシア悲劇にも比肩せられる本戯曲の圧倒的なカタルシスをご期待頂きたい。



■ 戯曲「幽霊」 について

ギリシャ悲劇にも比せられるイプセンの傑作。三幕の家庭劇。愛のない結婚を否定しつつも、因襲的な観念に縛られて放縦な夫のもとに留まり、夫亡き後も家名を守るため偽善に終始してきたアルヴィング夫人。夫の偽りの名誉を讃える記念式典を前に、可愛い一人息子のオスヴァルが、病を患って帰ってくる。帰国した息子は夫人の召使いのレギーネを自分の伴侶にと望むが、彼女が他ならぬ彼自身の異母妹であることを知らされる。

親の犯した過ち。その償いをさせられる子。誰もが無自覚なままに繰り返される悲劇。――法や道徳、宗教への不敬、近親相姦や自由恋愛の擁護、性病など当時の社会ではタブーであった様々な題材を取り扱いながら、近代以降の人間の精神の在り様に迫る、イプセン代表作の一つ。

「わたしたちには取りついているんですよ、父親や母親から遺伝したものが。でもそれだけじゃありませんわ。あらゆる種類の滅び去った古い思想、さまざまな滅び去った古い信仰、そういうものもわたしたちには取りついてましてね、そういうものがわたしたちには、現に生きているわけではなく、ただそこにしがみついているだけなのに――それがわたしたちには追い払えないんです。」 




■ 
イプセンについて Henrik Johan Ibsen 1828-1906

ノルウェーの劇作家。近代が抱えるさまざまな問題を取扱い、リアリズム劇を確立したことで近代演劇の父と言われる。代表作に「人形の家」「幽霊」「野鴨」「ヘッダ・ガブラー」の他、グリーグが音楽を担当した、歌劇「ペール・ギュント」等。戯曲だけでなく詩人としても名をはせた。「人形の家」に代表されるような女性の人権問題など、しばしば社会的・道義的なテーマについてのみ注視されがちであるが、今改めて読むとなればむしろ個人の自由や自己の確立という、近代の人間存在にかかるテーマのほうがより先鋭的で魅力的だろう。日本においては坪内逍遥が1892年に初めて紹介。1909年には小山内薫・市川左団次らの自由劇場により本格的な舞台が上演された。1911年には文芸協会が松井須磨子主演による「人形の家」を初演。主人公ノーラの「新しい女」としての生き方が話題を呼び、イプセン・ブームを引き起こした。イプセンを受容することから、日本の近代演劇の歴史は始まったといっていい。
今年は没後100年。「イプセンイヤー2006」としてノルウェー国内外でフェスティバルや会議などが開かれ、日本でも多くの関連企画が行われている。



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