テーブルに向かう男女二人。
女は妊娠している。
場所は男の部屋の近くにある喫茶店。
まんなかにひとつだけ、テーブルがぽつんとある。
他に客はいない。
いつもは直接男の部屋に行くのになぜ今日男はここを選んだのか?
ウェーターが水のいっぱい入ったコップを運んでいる。
女に持ってくるのもなみなみ入ったコップの水。
ずっと注文を聞けないでいて、ずっと注文を待ち続けている。
説明する言葉と説明できない直接性。
その二つのあいだを行ったり来たりする二人。
あなたにはきっと分からないだろう私の実感。
だけど、だから私はあなたのことが好きで、それだけはきっと
確かなこととして、在る。
数々の鈴江作品の中でも最もシンプルで、不器用なぐらい素直な作品。 |