名古屋タイムズ  2008年10月20日(月)



ナゴヤ芸能見てある記
シェルフ 「Little Eyolf 〜ちいさなエイヨルフ〜」 古典を現代に打ち込む演出の力


東京に拠点を置く劇団シェルフが9−13日、七ツ寺共同スタジオで「利賀演劇人コンクール2008」最優秀演劇人を受賞した代表作を上演した=写真=。

原作は19世紀末のノルウェーの劇作家イプセンの「小さなエイヨルフ」。息子が障害を負ったことに深い悲しみと罪悪感を抱えた夫婦が、悔恨と責任、愛憎の中で言葉をぶつけ合っていく。

演出家矢野靖人は名古屋市出身。昨年から公演回数も増え、確実に名古屋の演劇ファンに浸透している印象。

派手さを廃したセットと衣装。役者の動きや表情を抑えながら、人間の内部に押さえ込まれた感情の熱が外ににじみ出してくるような矢野演出。言葉を頼りに舞台をとらえようとすると、観客は古典の長く冗長になりかねないせりふを、自ら積極的に取り込んでいくことになる。古典のせりふや設定をあまりいじらずに、現代にライブとして打ち込んでくる矢野のアプローチには、感心させられてきた。

今作のシンプルにまとめられた舞台もシェルフのエッセンスを凝縮した魅力的なものだった。初日や楽日ではない回に観劇したが、緊張感は変わらなかった。舞台と客席の空気を濃密に一体化させる七ツ寺という劇場の魔力も、シェルフ作品と相性がいい。今後も名古屋を定期的に訪れてほしい劇団だ。(竹)




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