神奈川新聞 2006年9月15日(金)



かながわの演劇時評
手法の多様性生かす 横濱・リーディング・コレクション「太宰治を読む!」


  相鉄本多劇場で横濱・リーディング・コレクション#1「太宰治を読む!」と題した公演があった(8月23〜27日)。東京の演劇集団 shelf を率いる矢野靖人がプロデュース、横浜周辺の演劇活動を支援する横浜SAACなどが共催した。
  リーディングと呼ばれる舞台形式は、俳優が台本を見ながら語るのが基本だ。語りの技術を重視する朗読にとどまらず、動作を加えるなど、さまざまなアレンジをしたものを含む。
  演出家三人が太宰の小説や戯曲に取り組んだこの企画では、そうした手法の多様性が生かされ、三者の個性や工夫が色濃く現れた。
  椎名泉水は、一人の言葉でつづられた「駈込み訴え」を細かく区切り、五人に交代で語らせる。訴えながら揺れる心を強調するなど、多様な効果が生まれた。
  前嶋ののが演出した「冬の花火」 は登場人物五人の戯曲。対話場面なのに話す俳優同士は向き合わない、というふうに、設定にこだわらずに演技者を動かし、観客の想像力を刺激した。
  矢野が出品した「古典風、他」は、ある作品の人物に別の作品を読ませる手法で、複数の小説を再構成した。緊張感のある語り方で聞かせ、鋭さのある太宰の言葉を見る側に意識させた。
(後略)



  撮影/藤倉善郎

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