中日新聞 2005年9月3日(土)



舞台細見 〜 AAF戯曲賞リーディング 物語の二重性で複雑な味わい 〜

  愛知県文化振興事業団が主催するAAF戯曲賞の受賞四作品を、リーディングのスタイルで上演する試みがこのほど行われた。新進気鋭の演出家四人が真摯に戯曲と格闘し、演出と演劇の新しい可能性を示して魅力的だった。
  どの舞台にも清潔な緊張感があふれていた。矢野靖人演出の「大熊猫中毒」(半澤寧子作)は、台本を手に持ちながら、象徴的な動きなどスタイリッシュで硬質な造形。夏井孝裕演出の「so bad year」(永山智行作)は、いすに座り台本を読むオーソドックスな手法に徹しながら、作品世界を生々しく想像させ、リーディングの力と強靭さを示した。詩森ろば演出の「アナトミア」(小里清作)は生演奏が広がりを与えた。
  異色だったのは、倉迫康史演出の「Water Witch」(スエヒロケイスケ作)。戯曲を忠実に読むという枠を越え、作家が「Water Witch」を書き、稽古をしている現場という別のドラマに置き換えて上演したのだ。スエヒロの戯曲を解体したわけで、当否についてはアフタートークでも議論された。ただそのことで、スエヒロ戯曲の言葉の強さと普遍性がくっきりと浮かび上がったのも事実。魅力を迂回して伝えたともいえる。物語の二重性による複雑な味わいもあった。
  どの作品もリーディングの方法を探った結果、演劇の枠を押し広げたのだ。刺激的で意義のある企画だったと思う。
(演劇評論家・安住恭子)=8月25-28日、愛知県芸術劇場小ホール

この公演について、劇作家、演出家、俳優の片山雄一氏(NEVERLOSE)が
日記に詳細なレポートを書いて下さっています。 宜しければ併せて、ご一読ください。
http://blog.livedoor.jp/neverlose/archives/2005-08.html


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