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shelf代表の矢野靖人が、現在Twitterでハラスメントの告発を受けている件について

4月下旬にTwitter上にて、以前に私矢野よりハラスメントを受けたという投稿がありました。その件について、shelfの公式アカウントから現在事実関係を調査中である旨、5月12日に8回に分けて投稿させて頂きました。今回はその後判明した範囲で事実関係を説明させて頂きたいと思います。

その後の調査において、また過去資料から、今回の告発者でありshelf作品を過去に降板した方についてほぼ特定出来ました。

その後、当該の告発者の方の出演予定であった作品(2013年の作品です)に関し、稽古場での矢野の振る舞いや言動について、残っている記録をもとに、自身でも記憶を喚起するとともに、正確を期すため同じ作品に出演していた他の俳優やスタッフのうち、お話を聞ける方に対し聞き取りを行いました。

ただし、告発者、及び聞き取りを行った関係者のプライバシー保護の観点、また二次加害を生んでしまうことを避けるためにも詳細については公開いたしません。どうかその点についてはご理解下さい。

その結果確認出来たこととしては、やはり、稽古場で、例えば俳優に殻を破らせるためと称して、服を脱ぐ(=裸になる)ことを要求したことはないということです。上記で述べた、当時同じ作品に出演していた俳優やスタッフに聞き取りを行った結果も同じでした。

ですが、当時、矢野が告発者の方に対し、創作、及び稽古場運営の必要性から厳しい演出や指導を行っていたことは事実です。そのことが今に至るまでご本人の心の傷となっているということについて、心よりお詫び申し上げたいと思います。

服を脱ぐことを要求したことがない。そのことについて、少し長くなりますが理由と背景を書きます。まず、演出家として矢野には、俳優の演技力向上のために、俳優が自分の殻を破ることが必要だ、とか意識を解放することが必要だ、といった発想がありません。そういうクリシェにはむしろ嫌悪感をすら覚えます。

また合理的に考えて、もし俳優が頑なになっていたり、演技をするにあたって何か不自由な状態に陥っていたりすることがあったとして、そしてそれが原因で創作の現場が上手く行っていなかったとしても、そこで服を脱がせるという行為は逆の効果、即ち、より心身を頑なにさせる結果しか生まないと考えます。そのような理由からも矢野が稽古場でそのような言動を取ったことは一度もありません。また本件について、そのような要求(服を脱ぐこと)を止めた人物として、劇団員の川渕優子の名前が挙がっていますが、彼女も自身が服を脱がせることを止めたということについてまったく覚えがないと申告しています。

次いで、私が5月12日の公式Twitterの投稿で「私は稽古場で、不用意に俳優(女性、男性を含む)に裸になることを要求したことは一度もない」という書き方をしたことについてより詳細な説明をさせて頂きます。

公式Twitterでも書いた通り、演出上必要なシーンにおいては熟慮し、出演者、及び関係者との協議の末、俳優(女性)に裸になって貰うことをお願いしたことがあります。Twitterで紹介した事例は、イプセン作『ちいさなエイヨルフ』(2008-2010)を制作したときのものです。本作品は東京で初演を迎えた後、利賀、名古屋、再び東京、そして鳥取と4都市村で公演を行っています。いずれも稽古場では実際には裸にならず、着衣のまま稽古を進めた上、じっさいに劇場に入ってから初めて、女性スタッフ立会いのもと照明の光量などを調整し、メイクの調整をし、出来るだけ生々しくならないよう最大限の配慮をして行いました。

もう一件、2012年に東京で『edit』というテキストをコラージュした作品を制作したときに、ラストシーンで出演者の男女全員が上半身裸になるという演出を検討したことがありました。このときは、出演者全員と作品のテーマやモチーフについて時間をかけて協議し、また稽古場では照明を落として実験をしたのですが、結果的には思い描いていた演出効果が得られなさそうだったため、このアイデアは稽古場で実験しただけで取りやめになりました。稽古場では了解を得た俳優(男性、女性とも)にだけ上半身裸になって貰い、NGを申し出た俳優には着衣のまま演じて貰いました。

以上の事例のように、戯曲及び演出上の要請がある場合を除き、矢野が俳優に服を脱ぐことを求めたことは一度もありません。

矢野自身、創作の現場におけるハラスメント行為は絶対にあってはならないものだと考えています。

shelfでは今回の告発を契機に弁護士に相談をし、創作の現場におけるハラスメント(セクハラ、パワハラを含む)防止のための当劇団のガイドラインを作成中です。また今後、公演ごとに関係者全員で研修等を受けることも検討しております。

ご理解のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

shelf、矢野靖人

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