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北村修「最後の授業 心を見る人たちへ」(みすず書房)読了。

NHK教育で実験的に試みられた「北山修 最後の授業」(テレビのための精神分析入門)という番組をたまたま先日テレビで見かけていて、面白かったね。と家人と話していたら、それからしばらく経って家人が同書を購入してきたのだった。

作者の北村修は元・フォーククルセダーズのメンバーで作詞家。「帰って来たヨッパライ」とか、「戦争を知らない子供たち」等を聞いたことがある人は多いと思う。フォーククルセダーズ結成が65年で(当時は大学在籍中だった。)72年に京都府立大学を卒業、その後札幌医科大学内科研修生を経て、ロンドンのモーズレイ病院及びロンドン大学精神医学研究所にて2年研修、帰国してからずっと精神分析医として活躍している方。(1991年10月~2010年3月まで九州大学で教鞭をとっていらっしゃった。上記の番組はその最後の授業のドキュメンタリー。)

経歴の意外さ、おそらくその大変さといったらきっととんでもない苦労があったんじゃなかろうかと驚きつつも、とても面白い授業で、書籍も(講義録なので)非常に平易な言葉で書かれていてとても読みやすかった。それでいて、とても深い思考がそこにあって。機会を作ってもう一度読み直したい本の一冊。他にも著書がいっぱいあるみたいなので、ぜひ当たってみよう。

A.C.O.A.「共生の彼方に―セレクション―」

そして今日はA.C.O.A.『共生の彼方へ』観劇&トーク出演。開場に辿り着く前からとても楽しみで楽しみで。史朗さんは僕が今、いちばん好きなパフォーマーのひとり。他人に勧めるのが勿体ないくらい好きかも知れない。

パフォーマンスは最高だった。なんだろう、この俳優たちの色気は。以前に一度ワンダーランドに劇評を書いているんだけど、その時は観ることの「快楽」について考えたくて劇評を書いたんだけれども、いまだにこの問題については結論が出ていない。

ただ、上演と同時に毎回「犀の角」というカフェが開かれていて、終演後、あるいは開演前にも栃木の地酒や自家焙煎の珈琲、すべて手製の山菜料理、ニジマスの燻製などが供されていて、これがまた頗る旨いのだけれども、そういった、「場」の提供にこそ命をかけているんじゃないか、と思ったりもしている。

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写真は「犀の角」で提供されている山菜料理や日本酒の数々。繰り返しになるけど本当に美味い。熊笹の若竹なんて、食べたことないでしょう? 旨いんだこれが。自家製の燻製も、本当に癖になります。

でもって今日はA.C.O.A.の打ち上げで下高井戸までの終電を逃してしまった。新宿までしか帰れず。新宿から幡ヶ谷辺りまで川渕と歩いた。

でも楽しかった。本当に楽しかった!!明後日の『霧笛』も絶対観に行く。今日の『どんぐりと山猫』もダブルキャストなので出来れば明日も観たいくらい。

しかしA.C.O.A.の鈴木史朗さんのパフォーマンスは本当に凄い。毎回圧倒される。楽しくてしょうがない。同じ表現者としていっそ死にたくなる。なぜこれにお客さんが入らないのか理解に苦しむ。今観るべきはA.C.O.A.をおいて他にないくらいなのに。


A.C.O.A.『共生の彼方へ-セレクション-』

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”I-霧笛”
 原作:レイ・ブラッドベリ
 構成・演出・出演:鈴木史朗

”V-どんぐりと山猫"
 原作:宮沢賢治
 構成・演出:鈴木史朗
 出演:鈴木史朗
 (ダブルキャスト)佐久間文利 大崎美穂

―異物との出会い―
A.C.O.A.に出会ったのは2009年の鳥取でした。
「演じる」というより「観客に語りかける」という印象が強く、観客と向き合うための準備を「稽古」と呼ぶのだと感じる公演でした。物語と観客と、彼ら自身がそれぞれ強く存在しながら共に交信して空間を作る。決して押し付けがましくなく、いつのまにか観客も作品の一部になっていて、正に今、ここで、我々だけでしか作れないものになる。だからこそ終演時に、これほど寂しいと感じるのだと思いました。彼らは土地と出会い、人々と出会って芝居を創ります。ステージはいつも変化し続けます。出会いとは変化を受け入れることに他ならないのだから。
 このしたやみ代表
 大阪大学大学院文学研究科文化表現論演劇学専攻博士前期課程
 山口浩章

―いのちそのもの―
演劇の要は想像力にある。これは紛れもない事実であると思いますが、A.C.O.A.のパフォーマンスにはその想像が結晶する音が聞こえるように私には感じられます。『霧笛』には潮騒とほの暗い水平線、重苦しい深海が、『どんぐりと山猫』には草原と木々のざわめき、群青の空が、私の目の前で音を立ててその姿をあらわにしていきます。私が生きる時間をはるかに超えた伸びやかな時間を携えたその風景たちに接したとき、大海原の真ん中で笑う勇気と、まっくらな山の中で星を見上げるうれしさと、長大な時間の上で点である自分を微笑む安らかさを、私はA.C.O.A.から与えられるのです。私にとって、A.C.O.A.はいのちそのものなのです。
 第七劇場 鳴海康平(演出家)


>> 開演時間

『共生の彼方へ V-どんぐりと山猫』
 6/17(木)19:00~★
 6/18(金)19:00~
『共生の彼方へ I-霧笛』
 6/19(土)19:00~
 6/20(日)15:00~
  ★=終演後「トーク!」実施
  ※開場は開演の30分前

 *上演前後にカフェ”犀の角”がオープン!

>> 料金

 一般前売 2,000円
 一般当日 2,300円
 小学生前売 1,000円
 小学生当日 1,300円

>> お問い合わせ・チケット取り扱い

オフィス瓢
 〒329-3225 栃木県那須郡那須町豊原丙4134-11
 tel&fax. 0287-72-5952
 e-mail. info@officehisago.com
 web. http://blog.officehisago.com (予約フォームあり)

K・A・Gをお勧めします。

一徳会/K・A・G(鎌ヶ谷アートギルド)の舞台をお勧めします。SENTIVAL! 2010も折り返し、5団体目。昨日K・A・Gの新作 『ユーフラテス』 (原作/山崎哲 『うお傳説-立教大学教授教え子殺人事件- 』 より)を観て来たのですが、いやあ。面白かった。

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一徳会/K・A・G
http://www.1tokukai.org/

ここの劇団は俳優がとにかくいい。前から男性が目立って良かったのだけど、回を重ねるごとに女優も力を増してきている。そして何より、演出の狂気と偏執に応える集団性がいい。鈴木忠志じゃないけれど、劇団は思想を集団で体現することに芸術性があるのだ、という言葉を思い出させられました。思いついてもやらないようなことを無駄を覚悟で試してみる。そしてそれを舞台にまで載せる。石井幸一という演出家は間違いなく気違いです。

自分の生活/人生にないパーソナリティをどこまで俳優は体現できるのか。その生活圏域にないパーソナリティを演じてもらうために演出はどこまで俳優の生活に立ち入ることができるのか。その問いの一つの結果としてK・A・Gは、俳優は、自己の想像力と演出との共同作業で自分のパーソナリティを超える仕事をここまで出来るのだということが示しています。人を殺したことのない人間が人殺しを演ずるにはどうしたらいいのか。ここに一つの方法と、解があります。(ちなみにK・A・Gは劇場入りの10日前から稽古場で集団生活を行っていたそうです。)

東京ではなかなか観ることのできない貴重な劇団です。全力でお勧めします。公演は今日のマチネ・ソアレと明日のマチネまで。場所は板橋のatlier SENTIOです。お時間ある方は是非!

『迷子の警察音楽隊』

いい映画だった。とても素朴な。こういう映画をもっとちゃんと見なければならないと思う。2007年のイスラエルの映画。

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文化交流のため、エジプトからイスラエルにやって来たアレクサンドリア警察音楽隊。だが空港に出迎えはなく、彼らは誤ってホテルすらない辺境の土地に到着してしまう。食堂の美しい女主人に助けられ、地元の人の家で一泊させてもらう事になるのだが、言葉も宗教も違い、しかも彼らアラブ民族と長年対立してきたユダヤ民族。空気は気まずく、話しは噛み合わない…。

エジプト人の喋るアラビア語、イスラエル人のヘブライ語、両者の喋る朴得な英語の三か国語で進行していく物語。

カンヌ国際映画祭3部門受賞
ある視点部門一目惚れ賞/国際批評家連盟賞/ジュネス賞
第20回東京国際映画祭グランプリ受賞
ウクライナ・キエフ国際映画祭<グランプリ/エキュメニック賞>
ドイツ・ミュンヘン映画祭<観客賞/シネヴィジョン賞>
イスラエル・エルサレム映画祭<作品賞/主演男優賞/主演女優賞/新人男優賞>
イスラエル・アカデミー賞<作品賞/監督賞/男優賞/女優賞/助演男優賞/脚本賞/音楽賞/衣装賞>
チェコ・カルロヴィヴァリ映画祭<最優秀アジア映画賞>

という数々の受賞歴が物語っている映画の完成度の高さ。死んだように静かな田舎町に迷子になった警察音楽隊の何も起こらない「たいしたことではない」一夜を描いた映画なのだけれど、人生のアイロニーがたっぷりと詰まっていて、とても美しい映画でした。

愛を知らないイスラエルのさえない若者にエジプト人の若者が愛について(正確にはセックスについて)「どんなだった?」と問われたときに答えた言葉が印象に残っている。「答えられない。アラビア語ではなくは。」と、彼は続けてその後何かの詩の一説なのか、朗々と詩を朗誦するのだけれども。それがとても印象的だった。

それと、最後に楽長の歌うアラビア語の古い歌の旋律が耳から離れない。こういう味わい深い演技の出来る俳優って、日本には本当に少なくなったなあと思う。

「柿喰う客」 とメリル・ストリープと新海誠

木曜に日曜の記録を書いているようじゃ、ぜんぜんブログでも日記でもないのだけれども、(ホントは金曜のことも書きたいのにまだ書けていない。)取り敢えず備忘録的に。

4/18(日)は午前中に駒場で会議が一件あって、それが終わってから川渕と合流。二人で柿喰う客@新宿タイニイアリスを観劇したのだった。

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これがとても面白かった! 中屋敷演出は二回目だけどカンパニー作品は初見。初見の中屋敷演出がどっか別の団体のプロデュースな公演であって、それがいまいちだったこともあって、だから、柿喰う客というカンパニーに俄然好印象。最初の二人芝居にも感心したけど、七味まゆ味一人芝居には、何というか、ちょっと感動した。上っ面の派手さやスタイルの面白さばかりが喧伝されているけどぜんぜんそれだけじゃなくってちゃんと芸術性というか文学性、批評性がある。七味まゆ味一人芝居にはなんというか、人間の凄惨な一面を見せつけられた感じ。言葉に割り切れない身体にズシリと来るような劇場体験があった。いやあ参った。才能ってあるんだな。薦めて下さったカトリさんに感謝!

新宿で遅い昼食をとってから帰宅後、TSUTAYAが旧作1本100円セールをやっているのをいいことにDVDを数本借りてきて自宅で観賞。新海誠のアニメーション×2本と、メリル・ストリープ、アン・ハサウェイの『プラダを着た悪魔』。『プラダを着た悪魔』は実は最近好きな映画の一つで、観賞もこれが二回目。なんか、元気になれるんだよな。メリルストリープ演じるミランダの生き方の壮絶さとカッコよさ! こういう映画を見ていると、仕事をするって、生きるってことと同義だと思える。

新海作品は、短編1本と長編1本を借りたんだけど、特に短編の方、これをすべてほぼ一人で制作しているのだということについては(これも観るのは二度目なんだけど、)何度見ても驚愕を覚える。本当に凄い。執念だ。とても真似できないなあと思う。

長編のほうはタイトルの印象と違って近未来SFで。物語の終局の仕方がちょっと甘ったるいのと、あとモノローグが多すぎるかなあと思ったりもしたけれども、SF好きにはとても楽しめる佳作でした。新海誠の劇場公開作品、たしかもう一作品あるはずなので、その残りの一作品も近いうちに見てみたいと思います。

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