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COLUMBA 『シンデレラ』 @BankART studio NYK

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シンデレラについての物語というより、あるいはシンデレラの読み直しなどという作業でもなく、スタート地点こそ、「シンデレラ物語はどのように誕生し、なぜ愛され続けるのか」、「その後のシンデレラは、また、選ばれなかったほかの娘たちはどうなったのか」 という疑問にあったのかも知れないけど、それよりもっと、ずっと切実な、フライヤーやWebに書かれているところの、

厚いコンクリートの壁と蛍光灯。
そこでは、小春日和にもかかわらず、ひんやり冷たい空気と静寂が、日陰に残った水溜りのように澱んでいた。
運河のそばにたたずむ小さな駐輪場には、1ヶ月以上放置されたままの自転車があった。
ある宵、自転車を取りに現れた一人の女。しかし、彼女は 「鍵がみつからないので引き取れない」 と言う。
今日よく知られるシンデレラ物語は、どうして生まれたのか。
自転車を置いて消えた少女を巡り、駐輪場に居合わせた人々が紡ぐものがたり

という、「自転車を置いて消えた少女」 の物語であり、(それは劇中で語られるのだけれど、凄惨な、ひとつ悲劇の物語だ。)その駐車場に居合わせた(残された)人々の物語、だったと思う。

あるいは、物語を、物語るということについての物語。

「選ばれた理由なんて本当はないと思う。選ばれなかった人たちが“偶然の産物”に意味づけ、物語になったのではないか」 という石神さんの問題意識、あるいは、「だから物語はいつも、答えではなくて、問いだと思う。」というそれに、強く共感。

や、ちがうな。

物語についての物語というより、人生の不条理、や、そんなカッコつけた言葉ではなくて、つまり、石神さんが当日パンフレットに書いているところの、 「どぉなっちゃってんだよ。」 「どうしてこの世界は、こんなんなっちゃって、あんなことが起きちゃって、それでも空が青いのは、どぉなっちゃってんだよ?」 という、まさにそれそのものなんだと思う。

芝居を見ていて、そのことに強く共感しました。

それにしても石神さん、ホント頭がいいな。芝居がいちいち知的で巧緻。イメージの使い方、配置の仕方がとっても巧い。ちょっと仄めかし過ぎなんじゃないかとも思うけど、すっごくエンターテイメント。取材、きちんとしてるんだろうなあ。と思ったら、トークでちらっと紹介していた参考資料(書籍)もたくさんあって、だけどそれが芝居の前面に出過ぎるようなことも全然なくって。ああ、劇作家ってすごいな。と感服。

昨日、今日と世代は違うけど自分も出演するタイプの劇作家、演出家の仕事を見て、その仕事の細やかさ、なにより舞台に上がらない、見えない部分にかけられている労力の大きさ、作品の精緻さにホトホト脅かされる。二人とも女性なのは偶然? じゃないような気も。

明日、4/19(日)15:00の回を残すのみで、しかも既に前売りほぼ完売らしいけど、ご興味ありましたらぜひ。

COLUMBA 『シンデレラ』 @BankART studio NYK
http://pepin.jp/
 

  • 2009.04.19 (日) 00:30
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  • Yasuhito YANO

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